廃墟マンション・行政代執行で解体工事

 滋賀県野洲市は29日、今月末に行政代執行での解体を終える空き家マンション(同市野洲)の解体工事費が、1億1800万円となることを明らかにした。市は7月18日に代執行の終了宣言を行った後、所有者9人に費用を請求するとしている。

同マンションは空き家対策特別措置法に基づき今年1月に解体を始めた。工事費は当初、約1億円としていたが、建物内部の崩壊が想定以上に進んでいたため施工方法を見直し、3月26日までとしていた工期も6月末まで延長。これに伴い費用は約1700万円の増額となった。
市は費用を所有者らに請求するが、全額回収の見込みは立っていない。回収できなかった分は、建築基準法に基づく勧告を放置していた責任があるとして、滋賀県にも費用を請求するとしている。

日経XTECHが報道 

築47年の3階建て鉄骨造の分譲マンションは、空き家というよりも廃虚と呼ぶにふさわしい外観だった。滋賀県野洲市の野洲川西岸近くに立つ「美和コーポ」は、10年以上前から人の暮らしが途絶えている。建物は老朽化が激しい。交通量の多い道路に面した外壁が落下するなど危険な状態だ。野洲市は2019年3月18日、10人の区分所有者に対して、空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特措法)に基づく解体を命令した。複数の所有者が存在する共同住宅に対して自主解体を命じるケースは、全国でも珍しい。

市の税務課の資料によると、美和コーポは市街化区域に立ち、1972年に完成している。全9室で延べ面積は408.12m2、敷地面積は198.85m2となる。管理組合は存在せず、メンテナンスは行われていない。そのため、築40年経過した12年ごろから経年劣化が目立ち始めた。同年11月には市生活安全課に、「手すりがぶら下がっている」「階段が崩落している」などの苦情が入った。

 市の指導によって当初は、所有者らが落下する危険のある手すりの撤去などを行っていた。しかし災害の多かった18年には、地震や台風によって崩落する部位が急に増えた。市都市建設部住宅課の担当者は、「18年6月に発生した大阪北部地震で市道に面した外壁が崩落して、室内が丸見えになった。その後も立て続けに上陸した台風によって3階の内壁が外に落ちるなど、危険な状態が続いていた」と話す。市は同年9月3日に美和コーポを立ち入り調査し、空き家対策特措法に基づく特定空き家に認定。その後は所有者に対し、危険な部位の撤去などの改善を指導してきた。

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