アスベストとは?大規模修繕でもアスベスト問題は要注意!

2021年施行、改正大気汚染防止法

2020年5月、大気汚染防止法の一部を改正する法律案が成立し、6月に改正法が公布されました。改正法は一部の規定を除いて、公布した日から1年以内に施行される予定です。

全てのアスベスト含有建材が規制対象に

大気汚染防止法の改正により、全てのアスベスト含有建材が規制対象となりました。

同法の改正前までは、大気汚染防止法施行令において定められた「特定建築材料」、すなわちレベル1と2に当てはまるアスベストの建材のみが規制の基準であり、レベル3の建材については規制の対象外となっていました。

レベル3の建材としてはアスベスト成形板があります。アスベスト成形板はアスベストが含まれるものの、建材の内部でアスベストがセメントなどで固定されている状態であるため、通常の使用ではアスベストが飛散する可能性は低くなっています。

しかし、建物の解体作業中や不適切な処分によって、アスベスト成形板の内部からアスベストが飛散する事例が問題となっていました。

レベル3の建材からアスベストが飛散することを防ぐため、全てのアスベスト建材が規制の対象となります。

※別の機会に詳細はご紹介します。

「アスベスト」という言葉はご存知でしょうか?
何となく言葉は聞いたことがある方もいると思いますが、アスベストは天然の鉱物繊維で、日本では「石綿(せきめん・いしわた)」とも呼ばれています。

詳しくは後ほど説明しますが、2006年9月に法令で、アスベスト製品の製造・使用が禁止されていますが、2006年9月以前に建設された建物には、アスベスト建材が使われている可能性があります。

2006年9月以前に着工したマンションの大規模修繕でも、アスベスト問題は要注意なのです。
何も対応せずに工事を実施した場合、有害なアスベスト繊維が周囲に飛散してしまう危険があります。

そこで今回は、アスベストとは何か簡単にご紹介したあと、アスベスト建材の有無を調査する「アスベスト含有調査」の実施方法や、万一アスベスト建材が発見されたときの、処理工法などご紹介していきます。

特に、2006年9月前後に新築工事が着工したマンションの関係者の方は、是非ご覧ください。

1. 「アスベスト」とは?マンション大規模修繕では含有調査が必須?

まず「アスベストとは?」について説明すると、アスベストは天然から採取される繊維状のケイ酸塩鉱物になります。
日本では「石綿(せきめん・いしわた)」と呼ばれ、繊維1本の直径は髪の毛の5,000分の1「0.02-0.35μm」程度です。

石綿と呼ばれている通り、繊維は綿のように軽くて柔らかく、耐熱性・耐火性・防音性・絶縁性に優れている特徴を持っており、建物の建材だけでなく、自動車や家電製品・家庭用品など、広い分野で使われていた素材になります。

しかしこのアスベスト(石綿)は、危険な素材として一躍有名になりました。万一空中に飛散したアスベスト繊維を吸い込んでしまうと、肺ガンや中皮腫のリスクが高くなると言われている、恐ろしい素材なのです。

2.2006年9月以前に建設されたマンションは要注意!

上記のように、アスベスト繊維の有害性が明らかになったのち法令が整備され、2006年9月にアスベスト(石綿)含有率が0

しかし問題は、2006年9月以前までは使われていたということです。
2006年9月以前に着工したマンションなどの建物では、アスベスト含有建材が使われている可能性があります

それを知らずに大規模修繕などの工事を始めてしまうと、有害なアスベスト繊維が空中に飛散して、作業員や居住者が吸い込んでしまう危険があります。

そのため、個人的には対応が遅いように感じますが、2018年3月に、厚生労働省から「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」が公開されています。

そのマニュアルでは、マンションで大規模修繕などの工事を行う際、アスベスト建材の使用が疑われるときは、事前に含有調査を実施するように定められています。

もしアスベスト建材が発見されたときは、工事の着手前に国に対して「特定粉じん排出等作業実施届」を提出し、除去などの作業基準を順守するように定められています。

3.主なアスベスト含有建材

では「どんな建材にアスベストが含まれているのか?」と、そもそもの含有建材が分からない方は多いのではないでしょうか?
ここからは、国土交通省の「アスベスト対策Q&A」を参考に、主なアスベスト建材をご紹介いたします。

建物の主なアスベスト含有建材

➀鉄骨の耐火被覆材・機械室等の吸音・断熱材・屋根裏側や内壁などの、結露防止材としての吹付け材
➁鉄骨の柱・梁等の耐火被覆成形板
➂天井等の吸音・断熱及び煙突の断熱としての断熱材
➃天井・壁・床の下地・化粧用内装材・天井板・外装材・屋根材等の成形板

(引用:国土交通省「アスベスト対策Q&A」 Q18 アスベストはどこにどのようなものが使用されていますか。)

アスベストは主に上記の建材で使われていますが、その他にも内装・外装仕上げ材の「塗材」に含まれています。
上記の建材よりも含有率は高くないものの、大規模修繕に伴ってひび割れなどの補修のために、壁に穴を空けたり削ったり、塗装を剥がしたりすると、塗材に含まれているアスベストが飛散する危険があります。

4.疑われるときは事前の「アスベスト含有調査」の実施が必須!

2006年9月以前に着工したマンションで、アスベスト建材の使用が疑われるときは、事前に「アスベスト含有調査」を受けなければなりません。

そのアスベスト含有調査は専門の調査会社に依頼しますが、主に以下の調査員が含有調査を行います。

アスベスト含有調査を実施する調査員

①建築物石綿含有建材調査者
②石綿作業主任者技能講習修了者のうち、石綿等の除去等の作業の経験を有する者
③日本アスベスト調査診断協会に登録された者

調査員が現地調査を行い、必要箇所の建材をサンプリングして、専門の分析会社に分析を依頼します。
その後分析結果が出たら、調査員が報告書にまとめて提出されます。

そして分析結果は、マンション内の掲示板など居住者が見やすい場所に、大規模修繕などの工事着工から完成まで、掲示しなければなりません。これは大気汚染防止法 第18条の17第4項で規定されています。

その掲示内容は以下の通りになります。

アスベスト含有調査の調査結果の掲示内容

・調査結果
・調査を実施した調査員の氏名・所属会社名・住所
・調査が完了した日時
・調査方法
・特定建築材料(アスベスト建材)の種類と使われていた場所

アスベスト建材の使用が疑われる場合、アスベスト含有調査は、大規模修繕などの工事の発注者であるマンション側が、調査会社に依頼する必要があります

含有調査を未実施でアスベスト繊維が万一飛散すれば、地域によって罰則は異なりますが、高額な罰金などの罰則が科せられる可能性があるので、疑われるときは確実に含有調査を実施しましょう。